DICOMを取り扱える画像ビューワソフトは限られています。
無料のDICOMビューワは歴史の長いものもありますが、
ここ数年、非常にクオリティ、操作性の高いフリーソフトが多くなってきました。
一方、「有償ソフトウェアの期間限定無料版」(RadiAntとか)も多く存在し、普段使いするには都合のよくないものもあります。
本稿では無料(期間限定試用版ではない)で入手可能なDICOM関連ソフトを、
①画像表示(MPR・3D含む)
②タグ表示・編集
③DICOM通信
④RDSR対応
の観点から評価、紹介したいと思います。
<目次>
- Sycorax
(2021/5/19追記)
(2021/11/112追記)
1.Mac OS
- Horos(公式サイト)
Mac OSではOsiriXが有名ですが、近年では有償版と無償版との間で機能の格差が顕著になってきており、Horosに移行する人が多くなってきています。
Horosは、まだオープンソースだった2013年のOsiriX 5.8を元に作られており、最新のMac OSでも正常動作します。
機能もOsiriXを使用したことがある人ならわかると思いますが、必要な機能はすべて完備している、と言っても過言ではないでしょう。
DICOM通信機能もあり、十分な容量のストレージを備えれば、簡易的なサーバとしても働きます。
3D、MPR、またRDSRの内容表示も対応。現状はMacでオススメと言えばHorosの1択です。
また現在は中止しているようですが、近日中に最新バージョンの日本語版Horosの配布が再開される可能性がありますので、公式サイトをチェックすることをお勧めします。
2.Windows
- SonicDICOM Media Viewer(公式サイト)
画像表示 ★★☆ 直行MPRのみ可・3D不可
タグ表示・編集 ★★☆ 表示のみ
DICOM通信 ☆☆☆ 不可
RDSR対応 ☆☆☆ 不可
CDやDVDなどローカル環境にあるDICOM形式の画像を閲覧できるソフトウェアです。PCにソフトウェアをインストールする必要がなく、WEBブラウザ上で手軽にDICOM画像を閲覧することができます。
無料のDICOMビューアでありながら、検査リストの表示や計測機能、シリーズ同期機能、DICOMタグ情報表示など多彩な機能を備えています。
ローカルの画像を参照する目的であれば、最もシンプルかつ必要十分な機能を備えたソフトであると言えるでしょう。
- Create DICOM(Vector)
DICOMタグ編集ソフトとしては最高の機能を有するフリーソフト。DICOMファイルをドラッグアンドドロップだけで簡単に表示、タグに比較も簡単にできます。タグを編集し上書き保存、CSVファイルエクスポートも可能。
プライベートタグもすべて表示され、RDSRの内容も確認できます。
また使い方を少し工夫すれば、「DICOMタグはそのまま、画像を入れ替える」ことも可能です。
- Sycorax(公式サイト)
画像表示 ★★☆ 直行MPRのみ可・3D不可
タグ表示・編集 ★★☆ 表示・txtエクスポート可、編集不可
DICOM通信 ★★★ 可
RDSR対応 ☆☆☆ 不可
フリーソフトでは珍しいDICOM通信可能な完全Free DICOM viewer。閲覧に必要な機能はすべて網羅しており、複数シリーズのスライス位置連動も可能。
ローカルデータベースに画像を保存することもできるので、windows機でDICOM画像管理を行うには最も優れたソフトと言えるでしょう。
- Sante DICOM Viewer Lite(公式サイト)
画像表示 ★☆☆ 表示のみ計測・MPR不可
タグ表示・編集 ★★☆ 表示・txtエクスポート可、編集不可
DICOM通信 ☆☆☆ 不可
RDSR対応 ★★★ 表示・txtエクスポート可
DICOM viewerとしては原画像を表示するのみで、CT値や距離計測もできません。少し力不足でしょう。
このソフトの興味深いところは、RDSRをCT機付属のRDSR viewerのように、XMLライクに表示することが可能で、RDSRにどのような内容が書いてあるのか、眺めるのには非常に便利なソフトとなっています。
- 3DimViewer(公式サイト)
画像表示 ★★☆ 3D表示可能
タグ表示・編集 ☆☆☆ 不可
DICOM通信 ☆☆☆ 不可
RDSR対応 ☆☆☆ 不可
フリーソフトの中で数少ない3D表示ができるviewer。一応ボリュームのセグメンテーションも可能であるが、操作は難解。またPCのスペックによっては動作が非常に重くまります。
既存のカラーパレットでは満足いく表示が難しいので、あくまでも骨外観の3D表示用と割り切った方がいいでしょう。
いかがだったでしょうか
今後も新しいフリーソフトを発見次第、追記していきます。
(2021/5/19追記)
面白いものを見つけました。
- IMAIOS DICOM(公式サイト)
完全にwebアプリのみで動作する無料のDICOMビューワで、会員登録やログインも不要です。HPには「ファイルは当社のネットワークにアップロードされません」とは書かれていますが、使用には注意したいところです。
アップロードさえ済めば動作は非常に軽快で、無料では珍しいオブリークMPRの機能があります。使途は限定されますが、知っておくと非常に便利なソフトだと思います。
(2021/11/12追記)
- MicroDicom (公式サイト)
画像表示 ★☆☆ アキシャルのみ
タグ表示・編集 ★★☆ 表示は可・編集不可
DICOM通信 ★★★ Q/R(サーバから読み込み)可能
RDSR対応 ★★★ 表示可・テキスト出力可能
このMicroDicomは画像ビューアではありますが、機能としてはMRP不可、連続スライスを閲覧するときに読み込みが遅いという欠点があります。
しかしこのソフト、無料の機能としては珍しくDICOM Q/R(検索読み込み)のサービスを備えており、DCOMサーバと接続することで指定条件のDICOMファイルを取り込む機能があります。
RDSR管理に使用できる無料のツールとしてはDVTkというツールキットをお勧めしておりましたが、無料の会員登録が必要な点と、使用方法が直感的にわかりにくいという課題がありました。
このMicroDicomはRDSRに完全に対応しており、内容を表示する際もXMLライクな表示がされ非常に見やすいものとなっています。
RDSRを含めDICOMファイルを保管するサーバをDICOM接続し、RDSRファイルのみをこのMicroDicomでQ/R取得することで「RDSRのみ保管するシステム」を構築することが出来ます。
RDSRファイル自体は非常に容量が小さいので、他のソフトと組み合わせることで安価に線量管理システムを構築できる可能性があります。
画像表示 ★★☆ 3Dレンダリング可・MPRも可?
タグ表示・編集 ★★☆ 表示は可・編集不可
DICOM通信 ☆☆☆ 不可
RDSR対応 ★☆☆ 表示のみ可
3Dレンダリング可能なフリーソフト。使用方法がやや難解でMPRも可能そうだがよくわからなかった。カラーパレットも不十分。
動作は軽快だがレンダリング目的なら3DimViewerに優位か。
DICOMタグ、RDSRの表示は可能。